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ふるさと心の風景 第5集 花の風景
Hometowns-Scenes in My Heart 5, Flower
(2009.06.23 issued)

One

No.14 - 2009
(2/3)
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D のどか
兵庫県洲本(すもと)市【旧・津名(つな)郡五色町(ごしきちょう)】
平成12年(2000年)

 古い民家をかこむ田は、れんげの花がピンクの彩りでつつんでいた。少し目を移すと、あっちの田もこっちの田もれんげの花であふれていた。ひと昔前までは、どこでも見られるごくあたりまえの風景だった。近頃はれんげの花を求めてもなかなか見つからない。観光を目的にしたものでなく、暮らしの中でごく自然に咲いている。だから、のどかでひかれてしまう。
 田の一本道を、保育園の帰りだろう、ばあちゃんと手をつないだ子どもが帰ってきた。

@ 雨に咲く花
群馬県利根郡昭和村(とねぐんしょうわむら)
平成9年(1997年)

 梅雨はうっとうしく感じられるが、この雨の季節だからこそ美しく咲き誇る花がある。アジサイである。
 農家の庭先や柿の木を守るかのように群生するアジサイは、人の心をなごませる。幼い日、母とぬかる道で足をとめ、雨の音を聞きながら青紫色の花に見とれた思い出がよみがえる。雨の日に、とりわけいきいき咲くアジサイを見ると、梅雨はアジサイのためにあるのかと思えてくる。


B 高原の花
長野県諏訪(すわ)市
昭和58年(1983年)

 高原全体を橙(だいだい)色に染めつくしてしまうニッコウキスゲは、霧ヶ峰高原で7月中旬からいっせいに咲きはじめる。
 ニッコウキスゲは、その日しかもたない一日花だ。短い命のたくさんの花が次から次へと咲き、高原をうずめる。
 やがて8月の声を聞くと、吹く風もどことなく秋めいて、寂しげな薄紫のマツムシ草が高原を彩りはじめ、短い夏に別れを告げる。

A ジャガイモの花
北海道中川郡美深町(なかがわぐんびふかちょう)
昭和59年(1984年)

 広大なジャガイモ畑は、深緑の葉にかれんな白い花をつけ、北国の青い空の下で風にゆれていた。美深町は、道内でも気象条件がきびしい。それでも農家の人々はこの地にジャガイモをつくってきた。甘酸っぱい香りが漂うイモ畑は、北海道ならではの風景だ。赤い屋根のサイロを背に、美深と仁宇布(にうぷ)を結ぶ美幸(びこう)線を電車が通り過ぎて行った。


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 文/原田泰治


ふるさと心の風景 第5集 花の風景 切手帳より
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C 思い出風
山口県萩(はぎ)市【旧・阿武(あぶ)郡旭(あさひ)村】
平成3年(1991年)

 山口地方の取材で、山を背にした小さな集落に、見事なれんげの咲く田んぼを見つけた。畦(あぜ)には懐かしい木の電柱もあり、僕はすっかり惹きつけられてしまった。
 旅はこんな素晴らしい感動のプレゼントをしてくれる。
 土手に座り、れんげの田んぼを見ていたら、やぎの泣き声や、子どものはしゃぎ声、母ちゃんの呼び声など、思い出をのせた春風が耳元を通り過ぎていった。


Five

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