ふるさと心の風景第６集　祭の風景　Hometowns-Scenes in My Heart 6, Festival

⑤ 鹿踊り
　　Shika Odori

　　愛媛県北宇和郡鬼北町（きたうわぐんきほくちょう）［旧・広見町（ひろみちょう）］、昭和５８年（１９８３年）
　　Kihoku town, Kitauwa distict, Ehime prefecture, 1983

　愛媛県広見町の小倉（おぐわ）地区の秋祭り「鹿踊り」は、11月15日に行われる。鹿頭をつけ、手甲、脚絆（きゃはん）、わらじ姿に小太鼓を持った5人の子どもたちが、笛の音に合わせて舞う。雄鹿の角にはススキと野菊が飾られている。ささやかな祭りだが、哀調をおびた子どもたちの歌声や素朴な笛の音色は、心洗われる思いがした。

① 長崎くんち
　　Nagasaki Kunchi

　　長崎県長崎市（ながさきし）　平成２１年（２００９年）
　　Nagasaki city, Nagasaki prefecture, 2009

　諏訪神社（すわじんじゃ）の境内は、長崎くんちを見物する人々でうめつくされていた。長崎くんちは、諏訪神社の氏子（うじこ）にあたる市内の各町が、出し物と呼ばれる色々な奉納踊りを奉納する。気に入った演目があれば、境内から運び出される時に人々は「モッテコーイ、モッテコーイ」と大声で呼びとめる。「モッテコーイ」は、もう一度持ってこいの掛け声、つまりアンコールだ。ともあれ、長崎くんちは、秋色の空の下、人々を興奮の渦にひきこんでしまう。

③ こいのぼり
　　 Koinobori

　　愛知県岩倉市（いわくらし）、昭和５８年（１９８３年）
　　Iwakura city, Aichi prefecture, 1983

　晴れ渡った大空に、大きくうねり泳ぐこいのぼり。近頃は、ほとんど化繊に型染めのこいのぼりだが、岩倉市で出会った職人さんは、昔ながらの手がきこいのぼりを染める。根気のいる手仕事でいくら急いでもひと組（まごい、ひごい、子どもごい）ができるのに、約1カ月かかるという。こいのぼりづくりには、天日と水が絶対に欠かせないといわれるだけに、まだ冷たい裏の五条川（ごじょうがわ）でこいのぼりをさらす光景は、この町の風物詩になっている。

② 田の神祭り
　　 Ta no Kami Matsuri

　　鹿児島県薩摩川内市（さつませんだいし）［旧・薩摩郡祁答院町（けどういんちょう）］、昭和５８年（１９８３年）
　　Satsumasendai city, Kagoshima prefecture, 1983

　田植えを目前にした田では、日本各地でさまざまな春の祭りがある。
　藺牟田（いむた）の集落では、毎年4月10日、「田の神祭り」が行われる。田の神さまが宿替えをするこの行事をこの地方では、オナオリと呼んでいる。竹籠に乗せられた田の神さまは、山吹、桜、菜の花で飾られ、モウソウ竹でつくった竿にかつがれ、前後の踊り子に見守られて移動する。踊り子たちは、豊かな実りを祈り、れんげ草の花の中で何度も何度も「田の神舞い」を踊った。

④ 人形送り
　　Ningyo Okuri

　　岩手県和賀郡西和賀町（わがぐんにしわがまち）［旧・湯田町（ゆだまち）］、平成１４年（２００２年）
　　Nishiwaga town, Waga district, Iwate prefecture, 2002

　雪深い湯田町。その白木野（しろきの）地区の伝統行事、「白木野人形送り」を見に出かけた。雪の中で待つこと、小一時間。子どもが吹くホラ貝を先頭に侍姿のわら人形をかつぎ、数十人の列が続く。集落の入り口まで歩き、人形を栗の木にくくりつける。厄よけなどを祈願するために始まったと伝えられる。見物の人も少なく、素朴な行事は、あわただしい現代には、ほっとする懐かしい心のお土産をいただいた気がした。

関連サイト
・田の神 - Wikipedia
・田の神（鹿児島県・宮崎県） - Wikipedia
・旅行記　・えびの市の田の神（1）－宮崎県えびの市　ワシモ（WaShimo）のホームページ　音量注意volume!!

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